ボンボ (南米太鼓) の リペアー2017年06月23日 17:01

 *** 熊本・菊陽町からのSusurro(ささやき) *** 

 最近、打楽器の魅力をヒシヒシと感じるようになり、本気で練習してこなかったボンボ(南米太鼓)を叩いてみたくなった。そこで、今から1年前の2016年6月、我が家の納戸に眠っていた35年以上前の2台のボンボ(南米太鼓)を引っ張り出してみた。

  1台目は、当時取り扱っていた「アンデスの家・ボリビア」より購入したものだが、張ってある皮が異常に分厚く、こもった音でイマイチだったので長く使わずに放っておいた。(直径38cm 高さ50cm)ベニア胴にアワイヨを巻き付けてある、「ボンボ・クリオージョ」タイプである。 Aタイプ

 ** Aタイプ <ボンボ・クリオージョ ( Bombo Criollo )> 胴は、ベニヤ板を円筒状に曲げたもの




  もう1台は、長年の友人で対馬在住のN氏が30数年前に我が家に来た時にかさばるので一時的に置いて行ったもので、ずっと物置に眠っていたものだ。

 引っ張り出してみると張ってある皮の部分の劣化が激しくボロボロ状態で、虫食いのように穴が何カ所も空いており叩けば陥没してしまいそうな状態だった。Bタイプ


 ** Bタイプ <ボンボ・レグエロ ( Bombo Legüero )> 胴は、一本の木をくりぬいたもの


  N氏へ「傷んだ状態のボンボの写真」を送付してこの楽器の取り扱いについて判断を仰ぐと、ご本人の記憶からも薄らいでいたので思い出してもらうのに若干時間を要した。そこでN氏曰く、「そちらで処分してくれ」との返答。

 このボンボの入手先を伺うと、当時「中南米音楽(現、ラティーナ)」と言う月刊誌を発行していた、(有)中南米音楽<現在、ラティーナ>という出版社の代理部「アンデス楽器や衣装、レコード等の輸入販売部門」から購入したものだそうで、(直径34cm 高さ45cm)の比較的小型のくり抜き胴タイプだ。




 2台共に楽器として叩けるようにするには、皮を張り直す必要がある。そこで2016年8~9月にかけて、アフリカの太鼓(ジャンベ)の店で取り扱っている「張り替え用のヤギ皮」を探しアウトレット品(5枚で24,000円)をゲットした。


 まずは、基本的に皮の張り替えのみで済むクリオージョタイプのボンボから始めることにした。以前からステージで動き回るのにちょっと動きづらさが気になっていたので、この機会に胴の長さを10cm短くカットした。30数年経過した胴の部分はベニヤ板を丸めたものなので、剥がれかかっていた箇所には接着剤を流し込んで補修をした。



 残念ながら、このボンボの皮張り作業の写真はないが、水に2時間ほど浸して柔らかくなった皮を円形の枠にタッカーを使って張り付けていく作業を行い、皮が乾かない内に胴と皮を張った内枠および外枠を組んで紐で締めていくと完成である。

 皮が十分に乾燥するのに数週間を要した。その後、毛が長すぎると音がこもってしまうので、音の響きを確認しながら
ハサミを使って毛を短くカットした。


 ** 完成したAタイプのボンボ (修理前より胴の高さが10cm短くなった) 2016年10月中旬 完成






 次に、Aタイプのボンボから遅れること7か月、2017年5月上旬からBタイプのボンボのリペアーを開始した。

 このボンボ、非常に素朴で一切塗装されていない。分解して各パーツに分けると、丸太をくり抜いた胴の厚みが2cmほどあり、抱え上げるとかなり重い。そこで、胴の内側をノミを使って削り厚みを1.2cm程度まで薄くした。



 ** ノミを使って内部を削っている途中の状態(周りに削りカスが散乱している)

 新規にノミを購入してすべて手作業で行ったが、1日3~4時間の作業で3日間ほど要した。



 ** 内部を削り終わった状態(外側はまったく塗装されていない)




 余りにも見た目が素朴すぎるのでこの機会に塗装することにした。

 胴の外側は、サンドペーパーをかけて表面を滑らかにした。

 下記写真がサンドペーパー後の各パーツ。


 ** 内部を削って厚みを薄くしたくり抜き胴(中央)と皮を張る内枠(左側)および固定する外枠(右側)


 2017年6月上旬、胴の部分の塗装を開始。塗料はウレタンニスを塗り重ねていく。

 ** 1回目を塗ったところ


 塗る度に1時間以上の乾燥時間をを要するので、6回ほど塗り重ねるのにまる2日間を費やした。

 塗り重ねるにつれて色が濃くなりかつ光沢もでてきた。

 同様に外枠も重ね塗りを行った。

 塗装後の色は、最後に出てくる完成した写真(下)にて確認できる。





 次に、内枠に皮を張る作業に移るが、直径が34cmと小径なので、ヤギ皮1枚で両面分を確保できた。

 ** 1枚のヤギ皮から2枚分を確保(アウトレット品なのであまりいい皮ではないようだ)


 この皮2枚を水に浸して柔らかくするまでは、Aタイプのボンボと同じなのだが、皮を固定する内枠の形状が異なり、こちらのBタイプではタッカーを使って固定することができない。

 タタミ針に荷造り用の紐を通して、枠に皮を密着させて縫っていく作業となる。


 ** 水に浸して柔らかくした皮を針と糸で枠に縫い付けているところ


内枠に縫い付けた皮2枚を 塗装を終えた胴の上下から被せて外枠を使って固定し、紐で締めてゆけばBタイプボンボのリペアー完成となる。

胴の色は、「ブラックオリーブ」、枠のそれは、「マホガニー」。

完成写真(下)のように、リペアー以前とは別物のように生まれ変わった。

肝心の音は、よく響く。


** 完成したBタイプのボンボ (新たに塗装を施した) 2017年6月中旬 完成




 ** リペアが終了した、AとB両タイプのボンボ 

 今回、締め紐はそれぞれの胴の色にマッチするように、Aタイプには「赤」、Bタイプには「グリーン」を選んだ。

 さあ、どんなリズムを刻もうか。。。。。 「チャカレーラ」「クエッカ」「バイレシート」「ワイニョ」「サンバ」などなどリズムの宝庫である南米音楽を楽しもう。